野焼きの匂いなのか植物の匂いか不明だが、
なんとなくスモーキーな匂いがし始めた。
胸がきゅーっと疼く。
やがてキンモクセイの匂いが漂えば、
物狂おしく、ぐーるぐーるしつつも、ぽーっとしてしまう。
穂が出かけのススキを手折って花瓶に投げ込んでおくと、
日に日にぽしゃぽしゃに広がる。
梨、ぶどう、いちじく、やまぼうし、あけび、芋煮、干し柿、ヤブツルアズキ、
バターナッツカボチャのパンプキンスープ、蓮蒸し…
秋がめぐるたんびに己の中で深まっていくものを感じる。
味覚、嗅覚、直感とかセンスとか育むのに時間がかかる系統のもの。
手技療法分野も深めるきっかけを得られた感触。
足の裏にテープを貼っつけただけで、立つのもやっとで、ふらつく。
よちよち歩きの33歳。
足裏等のバランス感覚、センスゼロからの育成ゲー。
思うように動かせない肉体からの、脱出ゲー。
日々蓄積しているダメージに対し、
治癒系のシステムの修復が追いついてないんだろなあという勘。
回復魔法の第一歩はダメージの、入りを制す。