ド地味生活

滋味ある地の暮らしが精神を耕す

雪かきの身体知

雪やばい。
除雪車こない。(おそらく幹線道路に回っていて細かいところに手が回らない)

地域住民の生活道路には深々と雪が積もったまま。

迫る出勤時刻。迫る登校の時間。
一向に来る気配のない除雪車

しゃ~ね~な~。

ラグナ・レウァールFF8)のような肩をすくめる動作で、
やれやれといわんばかりのひとポーズ。
その間に、気持ちをセットして、
フルアーマ―装備。本気出すとき背中に手ぬぐい一本は必須。

(これ、雪かき道場仕込みの豆な)

スコップをおっ掴むと、装備は完璧。

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The Woman with the Metal Shovel
(脳内BGMはThe Man with the Machine Gun)

 

「雪かきって疲れるし大変だね。」って言ったら、

二十年くらい昔「疲れるようにやっから辛いんだよ。」と返されて、

「なんぞ?」と引っかかっていて、その後もずっと考えていたが、

色々暗黙知が多い領域だよなと思ったので、

今自分がやっている手順を言語化してみる。

 

先に人一人通れそうな幅の道を一本、除雪済みの道でスコップを軽く滑らせるのに向いた摩擦抵抗が少なそうな道を確保する。(できれば人が通りやすい通路になるような一本だと効果的、そこは地形とセンスの問題)
あとは道の端からさほど苦労せずに運べる量の雪をスコップで、予め一本つくった道の上を滑らせるようにして運びながら除雪済みの道を太くしていく。
要はトウモロコシの食べ方に似た解法。
https://www.youtube.com/watch?v=x77YnhAS1_4
(まさかすぐ歯が磨けないシチュエーションで、

ガジガジ丸かじりして歯に挟まるような食べ方してないだろうし)

どうしても雪の量が多いと、スコップの端からこぼれるので、多少こぼれたものはあとで回収するから、ざっと粗くても大まかに雪のない面を作ってしまう。
こぼれた雪は筋状になっているので、それらをうまく拾えるような軌跡を描きながら持っていく。まあ、車が当分来ない想定なら、牛耕式でいいと思う。
ぬり絵が得意な人とか幾何学が得意な人なら、イメージしやすいと思う。

心がけとしては、新雪のふかふかな体積のでかさの割に軽い(密度が小さい)うちにこまめに、面倒臭がらずに倒すこと。

これが、時間が経って圧雪状態、シャーベット状態になると密度が大きく、がーって運んでいる時F = maのmがでかくなりがち。さっさと片づけようと勢いをつけるとaも大きくなるが、Fが自分でコントロールできるキャパを超えたり、地形的に何かに躓くとあらぬ方向に行きやすい。圧雪時のひとかきは控えめに。

また、でかい塊を持ち上げるような動作の反復はあまり膝や腰によくないと思う。W = mghのhが高いと不安定になるから雪をどかす場所は低く保つようにしておきたい。

mがでかくならないように(身体の負担が小さく済むように)するのが、疲れにくい雪かきの要諦だと思う。
要は、宿題(タスク)をためるな。という教えに通じる。

雪国の人は、雪と格闘しながら、
雪に躾けられているんじゃないか、
物理や化学や数学の教材に雪はいい例かも、
という気がした朝のこと。